『HTC VIVE pro』を買ってVRデヴューした話
つい先日、『HTC VIVE pro』を購入しました。
税込で11万円と、3ヶ月ほど前に購入した原付きと大して変わらない値段で、ポチったときは正直焦りと後悔に苛まれましたが、今となってはそんな気持ちもまったくありません。とにかく買ってよかったと思っています。
そんな僕は、ついこのあいだまでVRにまったく興味がありませんでした。自分で機械を買うこともまずないだろうと思っていました。
この記事では、僕に起こった心境の変化、買うに至ったきっかけ、買ってよかったこと・得られたこと、よくも悪くも思うことなどを綴っておきたいと思います。
買う前:VRは「まだ始まってないコンテンツ」
前述の通り僕はVRに興味がありませんでした。
その最大の理由は「明らかに未成熟な技術である」ことです。
VRはまだ世の中に出て日が浅く、日進月歩の業界です。
映像を立体視の要領で鑑賞し、「奥行き」や「空間」を体験する。VRはとどのつまりそういうものなんですが、それを可能にするコントローラーやHMDなどの機材は見るからに洗練されておらず、小型化や軽量化などまだまだ夢物語で、実装がやっとというような構造。いわば巨大なバッテリーがついた最初期の携帯電話と同じ状態です。
写真のような最初期の携帯電話は「外にいながら好きなときに電話ができる」という新たな体験を可能にする一方、機材は原始的かつ巨大でしかも著しく高価、にもかかわらずまだ用途はかなり限定的でした。まさに今のVRデバイスそのものです。この認識自体は今も大きく変わっていません。
僕はVRデバイスがせめて携帯で言うところのPHSくらいのクオリティに進化してくれるまでVRに手を出すことはないだろうと考えていました。
買うきっかけ:かわいい男のお友達
意固地な僕をVRの世界にいざなったのはdiscordのインフレ(インターネットフレンド)でした。
そのインフレはわりとレアキャラにもかかわらず、かわいらしい声と庇護欲をそそる行動で人気者だったのです。
そんな彼がVRを始め、VRChatで見た目まで可愛くなって動いている姿に、ほかのインフレたちも一人また一人と魅了されていったのです。あの、できれば最期まで読んでいただけますか?
あるとき僕も「VRCに来てみないか?」と誘われました。
僕はVRChatがどのような場所であるかは事前に知っていまいたが、大抵が以下のような悪い噂でした。
・ワールドやキャラクターを作れない無産階級はヒエラルキー下位の日陰者に甘んじる
・ガワが変わっても結局リアルな人間関係に組み込まれる
・そもそも無法地帯であり、治安の悪い外人が暴れまわっている
・外人を避け日本人で集まってもそこは裏声やボイチェンを使ったおっさんの巣窟
・そういう人たちが至るところでバーチャル○モセッ○スに及んでいる
今思えば偏見もいいところなのですが、なんせそういう話ばかり流れてくるので、そういう場所なのだと思っていました。
しかし、インフレに連れられて飛び出したVRCワールドは、そのようなものとは無縁でした。
裏声やボイチェンのおっさんが乳繰り合っているというのは事実でしたが、べつに性行為にまで発展している例もなく(あるにはあるらしいが)、キツさに拍車をかけると思われていた美少女アバターも、むしろそのやりとりを微笑ましく見せる緩衝材としての役割を果たしていました。これは実際に入って見てみないとわからないことでした。
ていうか、VRC内のインフレは普通に可愛くて、なんか頑張ればガチ恋もできそうだなくらいに感じました。頭なでたときとかに喜んだり恥ずかしがったりする彼らを見ていると胸の中に温かいものが広がっていく感覚を覚えたのです。最後まで読んでください。
治安も思っていた以上に悪くなく、他人に迷惑をかけるようなおふざけは未だに一度も見ていませんし、みんな基本的には相互のグループに干渉せずVRCを楽しんでいました。
まぁ、よく考えればそもそも高い機材が「ふるい」の役割を果たして、あまり治安の悪い人は来られないようになっているので当然だったのかも知れません。
さて、僕は友人たちと書道ができるワールドに行きましたが、やはりVR機材のないデスクトップ環境ではなかなか思うようにお習字が出来ません。
そうして悪戦苦闘していると、見知らぬ外国人がワールドに入ってきました。
聞くと彼はドイツ人だそうです。
僕は大学や地域のコミュニティ、インターネット上で幾度となくドイツ人と出会ってきました。
そんな僕がドイツ人に出会ったときにやることといえば、決まっています。
僕ら日本人とドイツ人は過去の栄光を共有することですぐに打ち解けることができるのです。
そんな彼はお返しにと、大きな半紙に例の旗を描いてくれたので、僕もすかさず偉大な指導者の肖像を以てこれに応えました。
そんなふうに小一時間を過ごしたのち、ドイツ人の彼は「see you japanese good guys!!」と言い残しその場を去っていきました。
(ハングル書いてたし本当は韓国人だったかもしれん)
僕らの中に萌芽したちいさな友情。
その暖かさに触れたとき、僕は思ったのです。
───もっときれいにハーケンクロイツを描きたい ───
こうして僕はVRデビューを果たしました。
買ってよかったこと:ビートセイバーとかいう神ゲー
さっそくVRの世界に飛び込んだ僕。まずは友人たちとVRCに行きましたが、これは普通に楽しかったです。デスクトップのときとはまったく違う感覚、「これがVRChatかあ」という感動に包まれました。
VRを使うことでインタラクティブなコミュニケーションが可能となり、より交流を楽しむことが出来ました。
VR集会が終わった後、僕はかねてより興味があったVRゲームを購入しました。
それがこの「Beat Saber」。
じつはこのBeatSaber、VRアンチだった僕もかねてよりプレイしてみたいと思い続けていたタイトルであり、VRデバイスを買うに至ったもうひとつの大きなきっかけでした。
このゲームは2本の剣で奥から流れてくるノードをバッサバッサと切っていく音ゲーなのですが、これがマジでマジでマジで楽しいのです。
ノリのいい音楽と映像の臨場感が合わさって、普通の音ゲーでは味わえない圧倒的な没入感があります。
さらにこのゲームは既存の曲にオリジナル譜面をつけて配布しているサイトがあり、そこで取得したあんなアニソンやこんなゲームソングをプレイすることができるのです。もちろん自分で作ることも可能です。すごいや!
そして極めつけにマジで結構な運動になります。
僕は呼吸が下手くそなのでランニングとかジョギングをするといつも脈拍が195とかまで上がって、ウェアラブルデバイスに「今すぐ運動を中止しろ!!」って怒られてしまいます。要するになかなか最適な運動強度での有酸素運動ができないという悩みがあったのですが、このゲームはそれを解決してくれました。
譜面によっては全身をダイナミックに使ってプレイしなければならないものもあり、一時間もプレイすればTシャツが絞れるほどの汗をかいていました。
僕はプレイするたびHMDのフェイスクッションはずぶ濡れになり、フローリングには汗が滴っています。
つまりこのゲームはかなり質のいい有酸素運動を極めて楽しみながらすることを可能にしてくれました。
これが僕にとって本当に嬉しくて、気づいたら全身が筋肉痛になって足に豆ができるほどプレイしてしまいました。どうかんがえてもやりすぎですが、平気でできてしまうからすごい。
正直、このゲームのためだけに10万払う価値は十分にあったと思います。
仲間を増やしたい!:懸念点など
さて、僕は全体としてはVRをはじめて大満足していますし、一人でも多くの友人とこの素晴らしい体験を共有したいですが、それにさしあたっていくつか忌憚のない意見を述べておこうと思います。
まずやはり機材が高いです。なかなか「一緒にやろうぜ!」といって始められる価格ではないことは事実です。
ですが、僕が購入した『HTC VIVE Pro(十万円)』だけでなく、世の中にはいろいろなVRデバイスが存在しています。
充分な資金と高いスペックのPCがあり、こだわりが強い人であれば僕と同じ『HTC VIVE Pro』をおすすめします。全体的なスペックは他のデバイスより優れていますし、別売りのセンサを追加購入することで全身の動きをトラッキングできます(フルトラッキングといい、これをしている人はフルトラマンとよばれています)。
ただケーブルがちょっと太くてS2機関を取り込んでいないエヴァンゲリオンのような感じになってしまうことが難点です。
また部屋に2㎡(一畳とちょっと)以上の空間を確保できない人はこのデバイスのスペックを存分に発揮できないので、ほかのものにしたほうが値段的に無難かもしれません。「ベースステーション」と呼ばれるトラッキングセンサーのセッティングも大変です。これは壁の高いところに取り付ける必要があるので木ネジが付属していますが、賃貸住まいの人など壁に穴が開けられない人は、カーテンレールに取り付けたり突っ張り棒を使うなどの工夫が必要です。
準備や投資が大変だけど得られる体験の質は高いというのがこのデバイスの特徴です。
「VRができるくらいのPCはあるものの、部屋が狭かったり資金が少ない」って人は『Oculus Rift』もいいかもしれません。
VIVE proに比べるとトラッキングの精度などにやや劣りますが、値段は半分ですし、さらにトラッキングに必要なセンサがHMDに内蔵されているためベースステーションが不要です。賃貸住まいの人も安心です。
僕はまわりがVIVEユーザーだったのでおすすめされるままVIVE proを選択しましたが、最初はこれにしようと思ってました。たぶんこれを買ってもあまり後悔はなかったと思います。コスパを考えれば十分以上だと思われます。
スペックが適ったPCを持っていない人は『Oculus Quest』などのオールインワンHMDもいいのかもしれません。僕は最初から選択肢に入れてなかったのでよくわかりませんが。
なおOculus Questの場合『BeatSaber』で好きな曲をプレイする「レベルエディット機能」は未実装&配信時期未定なので、BeatSaberであんな曲やこんな曲を遊びたいと思っている人は注意してください。ちなみにPSVR版にはそもそも実装されないそうです。
その他にも色々あるみたいですが、価格や用途・スペックを鑑みると、おおむねOculus Rift s かHTC VIVE proの二択なのかな~と思います。興味がある人は他にも調べてみるといいかも知れません。
僕と一緒にVRしようぜ:
始める前にいろいろと偏見や懸念があったVRですが、やってみるとかなり楽しく、ちかごろゲームにすっかり飽いていた僕にとっては本当に素晴らしい体験となりました。
僕はキャラモデリングを学ぶ過程でVRC用のモデルは既に制作済みなのですが、VRCはプレイ時間などが一定以上に達していないと自作モデルを持っていくことは出来ないそうです…。
とはいえそれほど時間はかからないそうなので、はやく自分の子をVRCに持っていって遊びたいですね。
そしてBeatSaberで爽やかな汗を流してダイエットに成功し、VRCでかわいい彼氏彼女をつくって充実したバーチャルライフを送りたいと思っています。
これを読んでいるあなたともぜひVRで会いたい!会おう!買おう!みんな!
世はまさに大VR時代!