エコーザくじら

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『Ancestors: The Humankind Odyssey』プレイ後記

あおいくじらです。このゲームの感想を書くためにブログをはじめました。

タイトルにもある通り『Ancestors: The Humankind Odyssey』というゲームをプレイしたのでその感想をしたためたいと思います。

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このゲーム日本でやってる人全然いない&やってもムズすぎとか言って最後までやらずに糞みたいな言い訳レビュー書いてる雑魚が蔓延っているせいで日本におけるこのゲームのまともな評価があまりなかったので僕が書きます。そのためにブログも立てました。いくぜ

 

前置き:どういうゲーム?

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プレイ画面

ざっくり言うと『猿を進化させていくオープンワールドサバイバルゲームです。

ジャングルの中で生活する最初期の猿人(サヘラントロプス・チャデンシスとかいうらしい)としてプレイが始まります。「氏族」と呼ばれる集団を率い、ジャングルの中で寝床や食い物や飲み物を探しつつ生活していきます。
そうして生きていく中で脳みそとかが発達し、今までできなかった色んな事ができるようになっていきます。

 

ゲームの流れは

①探索したり生活したりしてニューロンスキルポイントみたいなもの)を貯める
②溜めたニューロンで新たな能力を獲得する
③子供を産んで増やし、身につけた能力を次代に引き継ぐ
④頃合いを見て新たな種へ進化する

という感じです。

 

新たな種へと進化する際、進化前にやったことに応じて年数がカウントされます。(○○を殺したら+何万年みたいな)それがわりと難しかったりすると進化跳躍ボーナスが入ります。最終的に実際の学説よりも何年早く進化できたかというのがゲームクリア時のスコアみたいなものになります。

そういう感じで、猿人が人へどんどん近づいていくさまを追体験しつつ「俺ならもっと早くホモサピ到達できるから」という人類の祖先に対する壮大なマウントを取っていくゲームといえます。

結論を言うとこのゲームは難しかったです。

このゲームは「猿人を追体験する」ゲームです。最初ぼくらは脳みその容量が力水くらいしかない猿人ですから、どの草が食えてどの動物が危険で、どこでなにをしたらどういうことになるのかなんて知りません。そういうことはすべて実地で試し、試行錯誤の末に知恵を身に着け、進化の糧としていくのです。まさに追体験です。そういうことなので、チュートリアルは本能レベルでわかることしか教えてくれません。
「SEKIRO」や「ダークソウル」など、プレイそのものの難易度が高いゲームとはまた違った難しさがあるのです。むしろプレイそのものの難易度はそれほどではありません。瞬発力を求められるようなアクションはすべて操作が同一ですし、基本的にはお猿さんたちの健康管理とワクワクドキドキの冒険とサバイバルが主になります。

以上のようなコンセプトなので、ゲームの内容に言及するのは極力避けたいです。何を使って何ができるとか、そういうことすらもネタバレになってしまいますからね。
でも書ける範囲で書いておきます。

 

本題:完走した感想

惜しいゲームでした。

マップの美しさ、コンセプトの面白さ、人類の進化を追うという興味深い内容。どれをとっても素晴らしいと僕は感じました。
前述のようなとっつきにくさはあるので、さすがに最初の何時間かは「なんだよこのゲーム❗」と切れ散らかしながらやっていましたが、ゲームの全容をつかめてきたらもう止まらなくなってしまいました。
お猿さんたちはトライアンドエラーを繰り返しながら少しずつ融通の利く生き物に育っていきます。知恵と勇気を総動員して猛獣を退けたときは「これがパラダイムシフト…!!」と大はしゃぎでした。

ただ、最後までプレイして振り返ってみると、やや物足りないなあ……というのも正直なところです。

このゲームはある段階まで進化したらクリアとなってエンディングが流れるのですが、始めたときに想像していたよりもずっと早い段階でそれが訪れてしまいます。
僕らは文明バイアスがかかっている文明人なので、クラフトとか建築とか「もう少しどうにかできるんじゃない…?」ってどうしても思ってしまうんですが、やっぱ猿人なんすよ。ネアンデルタール人のような旧人よりも、北京原人のような原人よりも前の「猿人」です。プレイ中はそれをまざまざと思い知り続けます。ようするに不便なことが多すぎるのです。それが最後までストレスであったことも事実です。
なので「もっと進化したらもっとこんなことができるかも!」と期待していたらそこまで行かずに終わってしまうのですね。残念。

しかもクリア後のボーナスアンロックにヤケクソ感を禁じ得ず、せっかくいい作品なのにあまり2周目やるモチベーションも起こらない感じになってしまっています。

きっと構想段階ではもっと我々新人ホモサピエンス・サピエンスとかいうらしい)の近くまで進化できるようにしたかったのだと思います。いろいろな事情でここまでになったのだろうなあ…というのがにじみ出てしまっている感じがします。

さらにエンドコンテンツ的要素になっている「進化跳躍」の年数。これは前述のとおり「実際の学説より何年早く進化できたか」というのがリザルトスコアのような役割を果たしているのですが、何百万年早く進化したところで見かけや性能に違いが現れないので「そう……」としかならないんですね。

このコンセプト自体あまり広く受け入れられないだろうなと思うところに、そういう点で期待を裏切られるわけなので、プレイ後の感想は「惜しいなあ~」となってしまった、という感じなのです。そういうわけで、ゲーム自体の出来としては75点くらいだったかなと思うのですが、このゲームはプレイ体験にとどまらないいろいろなものをもたらしてくれました。

このゲーム、マジでもたらしがやばすぎる

ぼくのコミュニティでは新たに知見を授けられたりすることを「もたらしがあった」とか「もたらし団子」とか言ったりするのですが、このゲームはまじでもたらし団子の特盛タレだく状態だったのです。

僕はこのゲームをプレイしている間ほとんどdiscordで配信していたのですが、観ていた仲間たちと「中新世という時代の生き物は?気候は?」「サバンナとジャングルの境目ってどうなってるの?」「この種ってどういう特徴があったの?」などあらゆる疑問を調べたり話し合ったりしてものすごく知識が増えたのです。

例えば誰かがふと「こいつらめっちゃ毛深いなあ」と言ったことから「ヒトは体毛が薄くなったことで汗腺が発達して体温調節の機能が向上した。これによってヒトは他の動物よりも遥かに長い距離を走れる動物になり、持久力に劣る他の動物を狩ることができるようになった」「二足歩行をすることで自由になった両手で道具を作ったりできるようになった」「二足歩行になったのは草原で動物を発見するためとか色んな説がある」「ほぼ同緯度でも低地と高地でバイオームは大きく変化する」「そういえばアフリカ国の首都は標高が高いところに作られてることが多い」とか…無限に知識の探求がはかどりました。

僕はゲームで猿人のニューロンを発達させていましたがプレイすることで僕らのニューロンも発達を促されていたという結果になりました。これこそまさに追体験以外の何物でもないと思います。

そういう点でも、プレイ以上のもたらしがあった。Ancestorsはそんなゲームでした。

 

レビューを書いてる人たちへ

ゆえにそういうコンセプトを理解しない(できない?)人たちにとっては死ぬほどとっつきにくいクソゲーという評価で序盤だけ触っておしまいということになってしまうのも詮無い話です。かなりプレイヤーが歩み寄ってあげないといけないゲームであることも事実です。

ただ、レビュアーとして、それ以前にゲーマーとして、そのゲームの意図とコンセプトをせめて理解し、その上で面白い面白くないを判断してほしいと思います。

自分が面白くない・難しいからクソゲーとか書いている人は、論外です。スマホポチポチゲーでもおやりになられるのがよろしいかと思われます。

 

 

最後に。Ancestorsのクリアタイムは55時間でした。Epicのセール+クーポンで1000円で買えたゲームなので充分以上ですね。
もしかしたら二週目もやるかもしれません。
ともかくもおすすめのゲームです。みなさんもぜひやってみてくださいね。